原神×クロスアンジュ 第91話『もし、草薙の稲光がすり抜けていたら』

八重神子

八重神子「草神ブエルよ、妾の頼み、聴いてくれぬか?」

ナヒーダ

ナヒーダ「あら、どうしたの?」

八重神子

神子「アンジュのガチャがすり抜けて、影のモチーフ武器『草薙の稲光』がすり抜けていたら、どうなるのか見てみたくてのう」

ナヒーダ

ナヒーダ「モラクス、バルバトスに続いてバアルゼブルもなんてね。良いわ、見せてあげる」

八重神子

神子「ワクワクじゃのう……」

もしもの世界に繋がった八重神子の意識

アンジュ

アンジュ「さあ、雷電将軍。
あなたが『料理が苦手』と言うことは、稲妻の民ならず私達にも伝わっているわ」

ヴィヴィアン

ヴィヴィアン「影ちゃんの料理苦手を克服しようと思って、エルシャを連れて来たんだ!」

八重神子

神子「本当か?本当に影のデスディナーを治せるのか!?
今まで、香菱先生やエスコフィエ先生など、名だたる料理人を連れて来たのじゃが、皆サジを投げてしまって……もうエルシャ先生だけが頼りなのじゃ、妾の影の病気を治してたもれ!」

雷電将軍

雷電将軍「神子……悪ふざけが過ぎますよ。
そんな、難病みたいに言わないでください……」

八重神子

神子「だが影よ、お主も言っておったろ?
『いつも私に尽くしてくれる裟羅に報いたい。彼女が好きな、おにぎりでも作ってあげられれば……』とな」

雷電将軍

雷電将軍「うっ……」

エルシャ

エルシャ「香菱さんは様々な食材を使いこなしますし、エスコフィエさんは一流シェフですから……
いきなり彼女達の技を真似するのは、出来なくて当然です。
まずは失敗することがほとんどない、カレーライスを作って見ましょう」

ヴィヴィアン

ヴィヴィアン「稲妻の民にも、『将軍様が苦手を克服するために料理に挑戦!』って、しっかり配信してるから、頑張って!」

エルシャと共にカレーライスを作ろうとするが、影が作ったルーは真っ黒にドス黒く、中から動物の足のようなモノが生えていた。

エルシャ

エルシャ「……ええっと、カレーライスはひとまず中止して、もっと簡単な、おにぎりを作りましょう」

雷電将軍

雷電将軍「はい」

エルシャ

エルシャ「お米は一度に沢山は使わず、ふんわりと……」

雷電将軍

雷電将軍「こうでしょうか?」

エルシャ

エルシャ「それでは具の梅干しを入れて、もう一回にぎって……」

雷電将軍

雷電将軍「はい」

エルシャ

エルシャ「……それで、何故おにぎりが一枚板になっているのでしょうか」

ヴィヴィアン

ヴィヴィアン「しかも、真っ黒。
まるでインクフィルムみたい。雷元素で焦げたのかな?」

アンジュ

アンジュ「梅干しは一体どこへ行ったのよ……」

雷電将軍

雷電将軍「何故か料理だけはダメなんです……
私は、大抵のことはこなしますが、料理だけはこうなるんです……」

八重神子

神子「裟羅に食事を振舞う約束の時間が近づいておるぞ。後15分しかない。先程、裟羅がついたようじゃ」

エルシャ

エルシャ「時間が無いので、お食事は私が作りますから。雷電将軍は、食事をよそって、配膳してください」

雷電将軍

雷電将軍「はい……」

結局、影のしたことは、エルシャが作ったおにぎりを皿に乗せて、味噌汁をすくってお椀に入れ、エルシャが切った漬物を小皿に乗せて、箸を持って来て、普段自分が食事するときを参考に並べただけだった。

雷電将軍

雷電将軍「私のしたことって、まるでお手伝いさんのようなことだけですね……」

エルシャ

エルシャ「そんなことありませんよ。
一つずつ覚えて行って、出来ることを増やせばいいんですから。
将軍様が今したことは『盛り付け』と言って、料理では大切な工程なんです。
将軍様も、何かを召し上がる時に綺麗に盛り付けられた食事と、乱雑に置かれた食事とでは、全然違うでしょう?」

雷電将軍

雷電将軍「……確かに」

エルシャ

エルシャ「それに将軍様の食事は、和食でしょうし……完璧に盛り付けられているのは大前提ですから。
それを参考にして並べたのは素晴らしいです。
和食の並びは、主食(コメ)が左で汁物(味噌汁)が右、主菜は真ん中で副菜は斜め上ですが今回のように主菜が無く副菜だけの場合は副菜が真ん中ですから。盛り付けの仕方は完璧ですよ」

雷電将軍

雷電将軍「確かに、そう言われてみると、いつもその並びで出て来ます。
その通りに並べただけですが」

エルシャ

エルシャ「和食は、左手でお椀を持って右手でお箸を使って食べるから、コメは左に置くようになっているんです」

雷電将軍

雷電将軍「一度だけ新人の料理人がコメと味噌汁を逆に並べてしまい、平謝りしていましたが……
そのくらい、自分で持ちやすいように直せば済むだけなので、私からは何も言いませんでしたが、ちゃんと理由があるんですね」

エルシャ

エルシャ「裟羅さんだって、将軍様が出来る事をして料理を振舞おうとしてくれたこと、きっと喜んでくれますよ」

戻った八重神子

八重神子

神子「くふっ……あははははははははは!!
傑作じゃ!これは傑作じゃ!
『臣下に飯を振舞う雷電将軍』として新しく八重堂で出せば、読者の心を撃ち抜くこと間違いなしじゃ!」

雷電将軍

雷電将軍「……今後、八重堂の出版物は、天領奉行に検閲させた方が良さそうですね、神子?」

八重神子

神子「……この物語の真の目的は、将軍様が苦手を一つずつ克服していくことで、民に希望を与える物語なのじゃよ」

裟羅

裟羅「将軍様が私のために料理を覚えようとする世界……
この九条裟羅、至福の極みです!何と恐れ多いことか……」

綾華

綾華「お兄様も将軍様と一緒に、エルシャさんにお料理を教わった方が良いのではないですか?
タピオカミルクティーは食材ではありませんよ?」

綾人

綾人「綾華、それは言わないでください……」